スキップしてメイン コンテンツに移動

住民税申告不要制度の廃止(配当控除改悪?)に関する国会審議(2022.3.22)の要旨・所感

住民税申告不要制度の廃止については、ブログで過去数度にわたり取り上げております。

住民税申告不要制度の廃止(配当控除改悪?)における「経過措置」って何?

ライフプラン狂わせる「配当控除改悪」炎上の真相:本当に「岸田増税」なのか? 

実は先送りされてなかった「金融所得増税」(マスコミが報じない令和4年度税制改正大綱の中身)


 

出典:令和4年度税制改正大綱(自民党・公明党)P91 

配当控除改悪として広まったこの話、納税環境整備の項目にあるだけに株式投資家には注目されつつも国会審議になりにくい細かい論点なのかなと正直感じていたところですが、最後の最後、参議院の締めくくり質疑で短時間ながらようやく議題となりました。 

※以下、質疑・答弁の書き起こしではなく私なりの要旨です。ありのままの質疑・答弁に関しては参議院サイトの総務委員会(令和4年3月22日)日本維新の会・柳ケ瀬裕文議員の質疑動画
https://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/detail.php?sid=6753 

をお聞きいただくか、後日作成される議事録を国会サイトで参照してください。 

柳ケ瀬裕文議員のyoutubeチャンネルにもアップされました。

-----------------------------------------------------------

柳ケ瀬議員:なぜ住民税申告不要制度の廃止するのか?

稲岡自治税務局長:所得の範囲が異なることは望ましくない。国保対策で違和感がある等との指摘があり、また金融所得は所得税と個人住民税で一体で課税してきたことから改正すべきとした。

※答弁で例示された指摘は2点だが、令和2年度個人住民税検討会報告書(第2 上場株式の配当所得等への課税方式の選択)では当然このほかにも問題点の指摘がある※

 

柳ケ瀬議員:【高所得層への影響】簡素化の趣旨・所得に応じた負担は理解できるが、改正により多くの投資家(一定所得以下)の負担増となる。1億円の壁の上に来る高所得者層は影響を受けるのか?(影響を受けない層がいると言ってしまっているので誘導尋問っぽいが…)

 稲岡自治税務局長:【高所得層には負担増なし】(一概には言えないと前置きしつつも)高所得者層は影響を受けないと考えている

 柳ケ瀬議員:【岸田政権の金融所得課税強化との食い違い】岸田総理は高所得者に関する課税のあり方を言っていたはずで、この制度変更は総理の考えと異なるのでは?

金子総務大臣 :【政権方針とは関係ない適正化である】金融所得課税の適正化が目的であって、課税強化が目的ではない。詳細は局長が答弁する。

稲岡自治税務局長:結果的に増える層がいるが、国保対策で使われている等の指摘がある中で適正化を図ろうとするものであり、課税方式は一致しているのが望ましい。

  柳ケ瀬議員:【改正の評価】真っ向から否定しないが、一定所得以下に負担が増えるのは改善の余地がある。簡素でありながら高所得者の負担を高める制度が望ましいのではないか?

【以下金子総務大臣の答弁・柳ケ瀬議員の反応があるが略】

この質疑に関する所感ですが、

>柳ケ瀬議員:【岸田政権の金融所得課税強化との食い違い】岸田総理は高所得者に関する課税のあり方を言っていたはずで、この制度変更は総理の考えと異なるのでは?

この所得が低いほうに影響が出るのは岸田政権の方針と食い違いがあるのでは?という問題意識に関しては、複数の指摘を目(耳)にしています。

私として非常に気になったのはここですかね

>稲岡自治税務局長:・・・また金融所得は所得税と個人住民税で一体で課税してきたことから改正すべきとした。
>金子総務大臣 : 金融所得課税の適正化が目的であって、課税強化が目的ではない。

税制の三大原則(簡素・公平・中立)の観点から見て、金融所得課税は本当に適正化されたのでしょうか?

簡素については、柳ケ瀬議員が指摘しているとおりです。

しかし公平・中立については、株式配当・譲渡益課税をターゲットにしているならまだしも、「金融所得課税」と大風呂敷広げてるなら大いに疑問です。

令和4年度地方税法改正により、株と先物で繰越控除の制度が異なってしまったことはすでに取り上げております。

FX・先物の繰越控除制度が現物株と異なる形になりそうな税制改正には疑問です 

FX・先物の繰越控除も改正される?(令和4年度税制改正大綱への疑問)

株と先物で繰越控除後所得の計算が異なるケースが出ることにより、特に(投資を選定するにあたっての)中立性を壊してると言わざるを得ません。また公平性も損ねていると解釈できます。

「金融所得は所得税と個人住民税で一体で課税」が望ましいというなら、なぜ先物で所得税と住民税で繰越控除後所得が異なることが生じうる法規定を放置したのでしょうか?

どうも総務省自治税務局は、有識者の指摘をつまみ食いして場当たり的な対処をしただけで、三大原則を理解して適正化してるのか怪しいと言わざるを得ません。


「簡素」もしくはそれに似た言葉は質問してる議員側は数度使ってますが、総務省側の答弁には見受けられません。これだと今改正の簡素化目的は周りが勝手に解釈してるだけ、ともとれます。

適正化していると主張するのなら、負担が増える投資家の理解を得られる形で改正すべきでは?と思うのですが。

コメント

このブログの人気の投稿

【繰越損失が消えるので注意】特定株式等譲渡全部の「住民税で申告不要」を選択すると

    【注】この制度は、次回令和5年分の確定申告から廃止されます。 こちらの記事もお読みください。   確定申告書作成コーナー(令和3年分)では、特定配当等・特定株式等譲渡の「住民税で申告不要」に注意しよう 損失を翌年以降に繰り越しするような方は、「住民税で申告不要」を選ばないほうがいいです。   住民税計算上、来年度以降繰越損失は控除しないようになってしまい、もったいないです。 「申告しない」「申告不要」とは、配当・黒字譲渡・赤字譲渡(繰越損失)とも住民税では考慮しないよ、という意味です。 SNSでもトラップとしてこのような話をよく目にするようになったので、注意喚起しました。 なおこの確定申告書提出による住民税申告不要制度は2年間限定なのですが、SNS上での混乱を鑑みると、2年限定での廃止は妥当だという声が予想外に出てきそうですね。(廃止は 一部投資家には大きな負担増になりますが・・・) なお将来的な話として、こちらの記事もあわせてお読みいただけると幸いです。 FX・先物の繰越控除制度が現物株と異なる形になりそうな税制改正には疑問です    

「FITS上場株式等課税方式有利選択ツールR2」複数の料金プランを使用する方法

「FITS上場株式等課税方式有利選択ツールR2」に関してはこちらを参照してください。  FITS上場株式等課税方式有利選択ツールの令和2年版公開のお知らせ   このツールを使った「試算結果」は、無料のまま算定されるものも多いですが、シェアレジお支払いで算出するものもあります。 例えば、すまい給付金の給付基礎額、児童手当の給付額などが該当します。   ブルーやグリーンの枠は0か空欄ばかりですが、この欄を表示する方法を紹介します。隣の「シェアウェア版有効設定」シートに移ります。 <<Ver1.33以前の場合>>   すまい給付金関係などブルーの枠を表示するには「住借すまいプラス」のチェック欄でプルダウンから☑を選択しますが、パスワードを要求されます。   パスワードには、 「住借すまいプラス」シェアレジお支払い (1,980円)後にお伝えした固定キーを入力します。   入力が正しく行われれば、チェックが完了です。さらに同一ファイルで児童手当の給付額などを確認したい場合は、「子育て制度プラス」のチェックを行います。   こちらには、 「子育て給付金プラス」シェアレジお支払い 後にお伝えした固定キーを入力します。 EXCELファイルは最初にダウンロードしたファイルが使えるため、改めてダウンロードする必要はございませんが、 1,870円分のシェアレジお支払いは「子育て給付金プラス」 から行ってください。   <<Ver2.00以降(2021.5.19リリース)の場合>> すまい給付金関係などブルーの枠を表示するには「住借すまいプラス」のキー入力欄にカーソルを合わせます。   「住借すまいプラス」シェアレジお支払い (1,980円)後にお伝えした固定キーを入力します。(ブログでお知らせできないので、上の画像は********と入力していますが、入れた文字は入力中にしか確認できないので注意してください。)   入力が正しく行われれば、チェックマークがつきます。さらに同一ファイルで児童手当の給付額などを確認したい場合は、「子育て給付金プラス」のキー入力も行います。 こちらには、 「子育て給付金プラス」シェアレジお支払い 後にお...

FX・先物の繰越控除制度が現物株と異なる形になりそうな税制改正には疑問です

    本記事をお読みいただくにあたっては、まず下記の記事に関してご理解下さい。   FX・先物の繰越控除も改正される?(令和4年度税制改正大綱への疑問)    「配当控除改悪」などと話題になった令和4年度地方税法改正法案が公表されました。 概要 要綱 法律案・理由 新旧対照条文   参照条文 (総務省サイト https://www.soumu.go.jp/menu_hourei/k_houan.html より、いずれもPDFファイル)  ざっと一読しましたが、上場株式等に関しては所得税と課税方式を一致させることで、確定申告が住民税納税通知書送達日後であっても、繰越控除が適用される法改正案となっています。   しかしFX・先物取引に関しては、住民税納税通知書送達日後の申告で、繰越控除が適用されなくなる条文が残るようです。     総合取引所の誕生を踏まえて、現物先物間の損益通算制度を実現する動きが(金融庁研究会などで)見られます。これも縦割りの弊害なのかもしれませんが、そのような動きがある中で、 現先間で税制上の食い違いを生むような法改正には疑問です。     制度の穴を是正し、住民税を賦課する市町村の混乱をおさえる狙いもこの改正にはあるはずですが、 このような中途半端な改正では、新たな混乱・賦課ミスを生み出しかねません。     一部投資家層には深刻な負担増を生み出す改正です。そのような負担を求めるにも関わらず、市町村まで混乱させるなら何のための改正でしょうか? 総務省の省益にしかならないのではないでしょうか。 例えば (現物株)令和6年度:△100万円、令和7年度:100万円  (先物) 令和6年度:△100万円、令和7年度:100万円  を令和6年分の確定申告期間(令和6年度納税通知書送達日後)に2年分申告した場合、現物株には課税されないが、先物には100万円に対し住民税5%分だけ課税される(所得税は現物と同じ)・・・これは違和感あるんじゃないでしょうか?