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ライフプラン狂わせる「配当控除改悪」炎上の真相:本当に「岸田増税」なのか?

 

 令和4年度税制改正大綱が20211210日に決定された後、配当所得等に係る課税方式についていち早く取り上げました。

実は先送りされてなかった「静かなる金融所得増税」(配当控除改悪とも、多くのマスコミが報じない令和4年度税制改正大綱の中身)

その後SNS上では配当控除の改悪として炎上気味の案件でしたが、人によってはライフプラン・投資計画が狂うという深刻な声もあがり、岸田増税なる政権批判も見られました。

現政権は財務省関係者が側近・ブレーンに多いことからこのような疑念を持たれるのでしょうが、この配当控除改悪とやらも金融所得課税の強化を狙ってのことでしょうか?

現政権の思想的バックボーンと言える分配政策と方向性が大きく異なり、低所得層ほど打撃が大きくなるため、政権が官邸主導で意図しているという見方ならそれは疑問です。 

今月発売のあるマネー誌では、選挙後官僚主導で増税が行われる可能性があるというマーケット関係者の見方が紹介されていましたが、このやり方が選挙前に行われたと見たほうが良さそうです。

地方税の改正ですので、財務省では無く総務省が所管なのですが、課税方式の統一は令和2年度の個人住民税検討会において検討された項目です。

令和2年度個人住民税検討会報告書 第2 上場株式の配当所得等への課税方式の選択


検討された項目・委員の考えは、申告者が選択できることがあたかも課税の公平性を損ねると言わんばかりの意見に違和感を覚える(それなら例えば「青色申告」「給与所得者の特定支出」も公平性を損ねるのか?etc)ほかは、概ね正論と言えます。ほぼ全てというのは、改正の影響に関しての懸念も含めてです。

報告書P-14-引用

> (2)納税者の納得感について

>市町村側が大変だから、あるいは所得税と個人住民税の課税標準はなるべ

>く統一した方が良いという理由だけで、今認められている制度を見直すこと

>について納税者が納得するかということが非常に危惧される。

 

>・ 課税方式を統一するとなった場合、課税方式の選択を前提に考えている納

>税者に対して理解が得られるのか。

 

>・ 課税方式の一致のみでなく、所得計算の方法や所得控除等も含めて、全て

>所得税と一致させて、かつてのシャウプ勧告の当時の姿に戻すということま

>で考えるのかどうかをよく考えないと納得が得られる結論にはならないので

>はないか。

 

>・ あるべき論として課税方式は一元化すべきであるが、どうする論としては、

>何が原則で何が例外であるかについて現行制度でメリットを受けている納税

>者に納得していただく必要があるコンセンサスが得られるまで議論した上

>で、どうする論にも対応すべきではないか。

 

>平成 29 年度に制度改正をした以上、申告件数の推移などを見極めながら議

>論を重ねていく必要があり、それが納税者の理解を得ることにもつながるの

>ではないか。

 

>・ 納税者の納得や課税実務の負担という点から、マイナンバーの活用や納税

>申告のデジタル化などを見据えた上での簡素化の議論も必要になる。納税者

>の納得を得るためにも、過去の議論、改正経緯、地方税と国税の違いを踏ま

>えた丁寧な議論をする必要がある。

 

この改正、国民的な議論を経て盛り込まれたとは見受けられないため、せっかく委員の方が議論され懸念されていた点が活かされておらず、納税者の納得感を得られていないのが問題です。

大綱には改正に至る経緯・改正の目的が説明されない納税環境整備の項目でもあるため私には改正点そのものは理解できるものの、改正に関する大綱の説明が不十分にも見受けられます。 

また所得税との一致という観点からは、課税方式統一に続く改正項目(2)の年金所得に関して住民税独自の計算を行う点、また令和3年度改正で実現する、住民税申告不要が確定申告書記載事項となった点(申告簡素化)とは整合しない改正とも言えます。

国税(所得税)の少額配当等の特例、あるいは事業所得・不動産所得で生じた損失(純損失)の取り扱いなども考慮しないと、完全な一致は果たせません(この点に関しては、「課税方式の一致のみでなく、・・・」という検討会委員の懸念にも通じます)。

令和2年度報告書に盛り込まれた点も考えると、1年経って改正されるタイミングも極めて疑問です。

この政権に原因を見出すとすれば、現政権は前政権や前々政権と違って官僚に対する統制が効いてないところにあるかもしれません。

 

【追記1】 ※2022.3.25一部変更

実は、検討会委員のある方に連絡を取ってみました。

このブログ記事では総務省が所管であり官僚主導で行われた可能性を指摘しましたが、ご返信にて改正に関わった総務省自治税務局に所属する役職の方、その連絡先を伝えられましたので、やはりそうではないかという感触を得ています。

ちなみに総務省自治税務局に関しては、過去に大阪府の泉佐野市とふるさと納税の指定制度を巡って係争となっています。不指定の制裁目的は正当化できるものだと思いますが、法の不遡及原則を破るという誤った手段で制裁に出たことにより敗訴して、泉佐野市の不指定が取り消されたなんてことがありました。

今回の改正にしても、有識者が下した妥当な目的であっても、納税者の納得感を得ずに誤った手段でやろうとしているように感じます。こういう癖が抜けて無いのかな?とふと感じましたね。 

きちんと納税者の理解を得て改正していかないと、次はふるさと納税の不利な改正もそうやっていくのかなと疑念も生まれてしまいます。

【追記2】※2022.3.25追記

2022年(令和4年)3月22日の参議院総務委員会における柳ケ瀬議員の質疑に対し、金子総務大臣・稲岡自治税務局長は、岸田政権の金融所得課税強化方針に基づくものではなく、あくまでも実務上の課題を解決するものである旨の答弁をしております。

詳細は下記記事を参照してください。  

住民税申告不要制度の廃止(配当控除改悪?)に関する国会質疑(2022.3.22)の要旨

 


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