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【確定申告】「配当の課税ミス」という報道・発表で見落とされる「繰越損失」の課税ミス

それほど大きく報道されていませんが、「課税誤り」の発表が続いています。 よく見られる発表の仕方としては、住民税の納税通知書送達後に申告された上場株式等の配当所得等に関しては、税額計算の対象としないにもかかわらず、法解釈を誤って対象をしていたというものです。 報道の例(神奈川新聞) 自治体発表の例(京都府宇治市) 配当の計算方式に関して、ここでは詳細は割愛しますが、この配当の取り扱いに対しては多くの場合誤って税額を増やしていたので、還付になります。 課税誤りを発表した自治体の中には、追徴課税と還付の件数を公表しているところもありますが、追徴課税の事例も結構あり、 中には59.8万円追徴というとんでもないケースもあります ( 日本経済新聞の報道 )。 その中にはさらに追徴課税になる理由を説明している自治体もあります(例えば 東京都江戸川区 )が要約すれば「納税通知書送達日後に申告してきたので、損失の繰越が無効になり課税される所得が増えました」ということです。 これは、注意すべき話です。配当所得や株の譲渡所得からは所得税15.315%・住民税5%が徴収されますが、損失と相殺した分は課税されません。 所得100万円に対して所得税15万3,150円・住民税5万円かかっても、損失100万円と相殺できれば丸々免除です。 これが相殺無効となれば、想定外の税負担が発生します。しかも住民税のみ無効化されて5%だけ課税されるという、なんともややこしい話です。 損失100万円が住民税だけ相殺できないから、所得税15万3,150円は課税されなくても住民税5万円は課税されてしまうと。 また所得税と住民税で繰越損失が違ってくるという、損失管理の問題にも発展します。所得税では100万円繰越損失があるけど住民税では0円って、信じがたい現象でしょう・・・ 毎年1年分ずつ、確定申告の期間に期限内申告してるよってことであれば、何の問題もありません。 ただ陥りがちな話としては、平成29年の損失を申告し忘れていたので、黒字になった平成30年分とまとめて平成31年の確定申告期間に申告してしまうパターンです。 遡っての申告は過年分申告と呼ばれることもありますが、これが災いの種になってしまいます。 確か

自治体で相次いで発覚した住民税課税ミス

38市町課税ミスか 配当所得を誤算入 /千葉(毎日新聞) 上記のように2018年秋に東京・千葉で発覚した住民税課税ミス、当時下記のような記事が見受けられましたが、結局は全国的に広がりました。 配当をもらっている方は要確認。10年以上住民税算定の誤り(課税ミス)があったことが続々判明 住民税の課税ミス (2 訂 )悪いのは誰か 東京都内で続々発覚した14年間の住民税課税ミス 都民以外も確認の価値あり そして 12 月には、一部自治体で繰越控除をめぐる課税誤りもあったことが発表されました。 東京都足立区 の発表 配当よりも、消えてしまう繰越損失のほうが投資家にとってはより問題です。 住民税の所得が増えれば、国民健康保険料など社会保障制度にも影響が出ます。 さらに 2019 年 3 月 6 日には、金融所得以外に住宅ローン控除など住宅特例でも課税ミスを発表した自治体もあります。 千葉県船橋市の発表 なお、住宅ローン控除を納税通知書送達日までに申告する要件は、 改正地方税法では撤廃され、平成30年分の所得税確定申告(平成31年度・令和元年度の住民税)から送達日後の申告でも控除が適用されます。