本記事をお読みいただくにあたっては、まず下記の記事に関してご理解下さい。 FX・先物の繰越控除も改正される?(令和4年度税制改正大綱への疑問) 「配当控除改悪」などと話題になった令和4年度地方税法改正法案が公表されました。 概要 要綱 法律案・理由 新旧対照条文 参照条文 (総務省サイト https://www.soumu.go.jp/menu_hourei/k_houan.html より、いずれもPDFファイル) ざっと一読しましたが、上場株式等に関しては所得税と課税方式を一致させることで、確定申告が住民税納税通知書送達日後であっても、繰越控除が適用される法改正案となっています。 しかしFX・先物取引に関しては、住民税納税通知書送達日後の申告で、繰越控除が適用されなくなる条文が残るようです。 総合取引所の誕生を踏まえて、現物先物間の損益通算制度を実現する動きが(金融庁研究会などで)見られます。これも縦割りの弊害なのかもしれませんが、そのような動きがある中で、 現先間で税制上の食い違いを生むような法改正には疑問です。 制度の穴を是正し、住民税を賦課する市町村の混乱をおさえる狙いもこの改正にはあるはずですが、 このような中途半端な改正では、新たな混乱・賦課ミスを生み出しかねません。 一部投資家層には深刻な負担増を生み出す改正です。そのような負担を求めるにも関わらず、市町村まで混乱させるなら何のための改正でしょうか? 総務省の省益にしかならないのではないでしょうか。 例えば (現物株)令和6年度:△100万円、令和7年度:100万円 (先物) 令和6年度:△100万円、令和7年度:100万円 を令和6年分の確定申告期間(令和6年度納税通知書送達日後)に2年分申告した場合、現物株には課税されないが、先物には100万円に対し住民税5%分だけ課税される(所得税は現物と同じ)・・・これは違和感あるんじゃないでしょうか?