iDeCoは拠出段階で「小規模企業共済等掛金控除」として課税所得を引き下げる節税効果があるほか、受取段階でも公的年金等控除と退職所得控除による優遇があると言われます。
受取段階では、年金受取より退職所得控除による引下げが大きい一時金受取が良いと言われますし、一時金受取のメリットが大きいことに否定はしません。
ただ全額を一時金受取にせず、年金受取と一時金受取の併用をして税負担を抑える戦略も考えられます。年金受取に関しては、税以外にあまり知られていない社会保障制度への影響があります。
「75歳以上の医療費が2倍になる」と反対されつつも、最速で2022年10月からの施行が決まった医療費窓口負担割合の引き上げ。年収200万円以上が対象と周知されました。
ただこの年収の意味は、iDeCoをやっている、公的年金の繰り下げを考えているような人は、きちんと理解しておいたほうがいいです。
厚生労働省の資料によれば、公的年金等収入+その他合計所得金額を算定基準としており、厳密な年収と異なることがわかります。
https://www.mhlw.go.jp/content/000720041.pdf
〔介護保険の利用者負担割合と同様の考え方〕という注意書きから判断しても、iDeCoのように公的年金等控除が使えるものは年収で計上し、生命保険会社の個人年金は必要経費(既払保険料)を差し引いた所得額で計上すると見込まれます。
例えば私的年金で得られる年金年収が80万円として、個人年金であれば必要経費相当額が75万円であるとします。
個人年金であれば「公的年金等収入+その他合計所得金額」の「その他合計所得金額」が5万円だけ増えるのに、iDeCoだと公的年金等収入が80万円増えてしまい、医療費や介護費用が増えるリスクが高まります。
2022年10月以降の制度で説明しましたが、医療・介護費用や保険料に関しては、少子高齢化により将来ますます負担の増える方向に向かうと考えられます
iDeCoで形成した老後資金は課税収入として扱われる以上、iDeCoを自己責任で活用したばかりに、税情報を参照する社会保障制度で不利になるのは隠れた怖い話です。
年金受取のシミュレーションで社会保障制度への影響を見るには、FITS上場株式等課税方式選択ツールの「年金生活者プラス」を利用すると良いです。
「FITS上場株式等課税方式有利選択ツールR2」に関してはこちらを参照してください。
FITS上場株式等課税方式有利選択ツールの令和2年版公開のお知らせ
※社会保障制度でiDeCoのリスクを説明してきましたが、子育て世帯で27万~81万の拠出により児童手当の減額・不支給を防げるのであれば、意味はあります。
拠出と給付のキャッシュフローで見てたいていは拠出超過の赤字になりますが、会社員で2~3人の子がいればトントンもありえます。
拠出時の現役世代に関しては、「子育て制度プラス」を利用すると児童手当への影響がわかります。
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