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「後期高齢者医療保険料に金融所得勘案」報道(2022年)から「配当控除改悪」を考察する

(2022.6.28作成、7.11更新) ※2024年に報道された件は後日取り上げる予定です

「後期高齢者医療保険料に金融所得勘案」報道は、株式譲渡や配当の申告不要制度に関わる問題なのですぐに承知してはいたのですが、骨太の方針を確認するまで様子見しようと思いました(公表後からもだいぶたってしまいましたが・・・)

この件が日経新聞、日本テレビ等で報道されたのは2022年5月22日のことなのですが、盛り込むとされていた「骨太の方針2022」は実際どうなったと思いますか?

(日経報道ソース)後期高齢者の保険料、金融所得も勘案検討 骨太方針原案※有料記事
(日テレ報道)「骨太の方針」原案 75歳以上の保険料、金融所得を勘案

2022年6月初旬に公表されて私が確認した限り、報道していたような記述は見当たらないのですが、見落としているようでしたらコメントください。

(内閣府)経済財政運営と改革の基本方針 2022 について

それらしき記述といえば、P31

>給付と負担のバランスや現役世代の負担上昇の抑制を図りつつ、後期高齢者医療制度の保
>険料賦課限度額の引上げを含む保険料負担の在り方等各種保険制度における負担能力に
>応じた負担の在り方等の総合的な検討を進める。

ですが、金融所得勘案と言うにはあまりに漠然としすぎていて、骨太の方針に盛り込まれていると解釈するのは非常に無理があると思います(見落としていたらごめんなさい)

【2022.7.11追記】日本経済新聞の報道によれば、当初の案に盛り込まれていた金融所得勘案は、与党側から参院選に対する悪影響の懸念があり、最終的には削除されたとのことです。これでは何度読んでも見当たるわけありませんね。

(日経報道)社会保障費、年3兆円増も 負担拡大の議論不可避※有料記事
 (追記ここまで)

◆「後期高齢者医療保険料に金融所得勘案」は誤報?◆

悪くいえば誤報だったとしか思えないのですが、一方で複数社の報道があったことからすると、完全な飛ばしとも言えないと思います。

後期高齢者医療保険料といいますか、前年の所得全体を参照する公的保険に申告不要の譲渡所得、配当所得を勘案すべきであることは、このブログで何回か取り上げた「令和2年度個人住民税検討会報告書」でも提言されていました。

報告書のうち、住民税申告不要制度の廃止(配当等の課税方式統一)が実現したことを考えると、保険料に対する金融所得勘案も早晩実現に向かう可能性は否定できません。
 

◆住民税申告不要制度の廃止=配当控除改悪は妥当?◆

これが、住民税申告不要制度の廃止(配当等の課税方式統一)を指して一部で言われた「配当控除改悪」とどう関わるかですが…

結論から言うと、保険料に金融所得勘案までも現実になるのであれば、「配当控除改悪」なる事実を正確に反映してない言い方が広まると、誤った節税戦略をとる納税者が出るのでは?と危惧しています。


◆なぜ住民税申告不要制度の廃止は配当控除改悪と言われたのか?◆

なぜ配当控除改悪と言われているのかは、こういうことのようです。

住民税申告不要制度で配当を所得税で総合課税(配当控除を受ける)、住民税で申告不要(配当控除を受けない)とできたものが廃止により、所得税・住民税両方で総合課税とするか、両方で申告不要とすることしかできなくなります。

申告不要としない場合ですが、1つの考え方としては配当に対する住民税率が5%→最低7.2%と原則として上昇するため(所得が年100万以下の配当しか無い場合を除く)、配当控除のうまみが減殺されるというものです。

 

こちらはまあ理解できますが、留意点は後程。


もう1つは申告不要としない場合、国民健康保険料・後期高齢者医療保険料・介護保険料の算定対象となり、また健康保険・医療保険は料率・税率が10%以上と高いことが多いため、所得が100万に到達しない低所得層は別として両方を申告不要とした方が良いのが一般的です。

両方申告不要にしたら、所得税における配当控除の恩恵が受けられないため、配当控除の改悪だという解釈のようです。


◆「配当控除改悪」に対する疑義◆

しかし後者に関しては

「申告不要とした場合は公的保険料の算定対象にならない」という制度を前提のうえで、
有利な課税方式選択という観点から、配当控除を忌避すべきという意味で

「改悪」だと解釈しているにすぎず、

例えば所得税の配当控除率が10%→5%になったという意味で、配当控除そのものの制度改悪が起きたわけではありません。総合課税の申告による住民税率の上昇も、元からあった制度です。

保険料に金融所得勘案とは、公的保険と株式等譲渡所得・配当等の関わりを知っている方は、この前提である「申告不要とした場合は公的保険料の算定対象にならない」を変更するものと解釈しています。

前提が崩れた場合でも、配当控除は忌避すべきものでしょうか?

ここがポイントで、課税総所得金額695万円(めやす)以下であれば、むしろ配当控除を活用して所得税の節税をしないと損をしてしまいます。申告不要にしようが配当控除を使って確定申告を受けようが、公的保険料は変わらないからです。

 

◆まとめ◆

もっとも保険料に金融所得勘案は、本当にそうなるかはまだ未確定であり、制度の具体的な設計もこれからです。

しかし複数社報道からそういう方向が見えてきた以上は、住民税申告不要制度の廃止(配当等の課税方式統一)=配当控除改悪 として話を広めることは、今後慎重になるべきであるとも思います。

配当控除改悪と言い方に目をつぶれるとしたら、「申告不要とした場合は公的保険料の算定対象にならない」という前提維持が約束されている段階だけです。
 

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